Die Peanuts/ザ・ピーナッツ Souvenirs Aus Tokio

「ザ･ヒットパレード」(フジテレビ'59年-)、「シャボン玉ホリデー」(日本テレビ'61年-)に夢中になって青春を送った世代へ、ドイツから素敵な「贈り物」が届いた。独ベア･ファミリーの編集で、ザ･ピーナッツが'64年から'67年にかけてドイツでリリースした8枚のシングル盤の合計16曲を中心に構成したアルバムだ。もちろんこの16曲は全てドイツ人による作詞作曲で、ザ･ピーナッツもドイツ語で歌っている。「Nagasaki - Boy」「Happy Yokohama」などと、タイトルにエキゾティスムをそそる工夫はあるが、メロディやリズムにはほとんど「東洋趣味」は感じられない。ザ・ピーナッツとドイツとの接点は、所属する渡辺プロダクションが'63年4月に世界的な”歌姫”カテリーナ・バレンテを日本に招いてツアーを成功させたことに始まる。カテリーナは共演したザ・ピーナッツが気に入り、その年の年末、ウィーンで制作された「カテリーナ・バレンテ・ショー」に彼女たちを出演させ、ザ・ピーナッツはそれで人気が出てドイツ語圏のテレビに頻繁に登場するようになった。アルバムの後半にある日本語の「Peanuts Hit Medley」や、日独の唱歌をカテリーナと歌う「Volksleider Medley」、カテリーナの兄弟のシルビオ・フランチェスコも加わった「Hits A Go Go Medley」などは、モノラル音源であることからも当時のテレビ番組で録音されたものだと考えられる。またアルバムの最後は、スペイン語の「Cuando sali de Cuba」や、「Sentimental Journey」「Tennessee Waltz」など、ザ・ピーナッツが得意としたラテンやスタンダードが並んでいて、日本のファンをほっとさせる。ザ・ピーナッツはアメリカでも'66年に「ダニー・ケイ・ショー」や「エド・サリバン・ショー」に出演しているが、その後のレコード・リリースには結びついていない。それを考えると、ドイツでの成功はなぜなのか？このCDにはその秘密が隠されているのかもしれない。　解説：潤田 順一