What A Wonderful World
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マルコ・デットはお聴きの通り大きな特徴のあるピアニストではない。どうも珍しいピアニストに出会うと私など習性が働いてその出自がどこだろうなど、特徴の発見に努めてしまうから我ながら嫌になってしまう。パウエル派だのエバンス派だのと。文章によるジャズ批評界が昔からジャズ・ファンをそのように学習させてきた結果、残念ながらそうなってしまったのである。まことに悲しい話だ。もうそんな時代ではない。皆さんはマルコ・デットが誰の流派をくむピアニストであるかなどと考えないで頂きたい。考えるのではなくひたすら楽しむ。これである。 寺島靖国